美術史ワード

初期中世美術

 476年,西ローマ帝国滅亡後のヨーロッパには,大陸を移動してきたゲルマン諸民族の国家が成立した。彼らがキリスト教に改宗したため,この時代の美術は,各民族の性格を反映しつつもキリスト教に根ざしたものとなった。伝統的に抽象的な文様を好むケルト民族の地アイルランドでは写本挿絵が栄えた。現在のスペインとイタリアにあたる地で王国を建てた西ゴート族やランゴバルト族は金工細工を得意とした。フランス人の祖先フランク族はガリアに強力な王国を築いた。とりわけ800年に西ローマ皇帝に即位したカルロス大帝(シャルルマーニュ)は古代文化復興に力を尽くし,アーヘンに壮大な宮廷を建てた。