美術史ワード
ポストモダニズム
機能性や合理主義を重視した「モダニズム」の文化や価値観を批判的に捉え,過去の様式も取り入れながら,自由な様式や造形を求める潮流。芸術においては,まず建築分野で古典的な装飾を現代のデザインと融合させた建築などを指す語として使われるようになり,後にデザイン全般や美術にも広まった。
「ポストモダン」という言葉は,フランスの哲学者,ジャン・フランソワ・リオタールが1979年発表した著作『ポストモダンの条件』以降,知られるようになった。リオタールによると,「モダン」の時代には,経済や文化の発展が社会全体で目ざされてきたが,高度情報化社会が到来し価値観が多様化したことによって,過去の様式を自由に取り入れるポストモダニズムが発達したという。だが現在では,新奇なものであれば何に対しても用いられることもあり,その定義は曖昧である。