美術史ワード
ロシア構成主義
旧ソ連で1910年代から1920年代にかけて流行した前衛的な芸術運動。鉄,ガラス,プラスチックなど工業的な素材を組み合わせた抽象的な立体作品や,線や面など幾何学的な形態を構成した抽象絵画などが特徴。1914年に,ウラジーミル・タトリンがピカソのアトリエでキュビスムの作品に感銘を受け,鉄板や木片を使った構成的なレリーフを作ったことから始まった運動である。
ロシア構成主義の作家は,芸術は社会のために役立てられるべきだと考えており,労働者と馴染みの深いガラスやプラスチックなどの工業製品を,作品の素材として選ぶことが多い。1920年代に国家指導の芸術教育機関がつくられたことによって,美術だけでなく,デザイン,舞台芸術,建築に広く波及するも,抽象表現を否定する社会主義リアリズムの台頭や内部分裂により勢いを失った。
【関連する主な作家】
ウラジーミル・タトリン(ロシア)
エル・リシツキー(ロシア)
ナウム・ガボ(ロシア,アメリカ)
アレクサンドル・ロトチェンコ(ロシア)
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