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エーゲ海文明

 前3000年から前1200年頃に地中海東部のエーゲ海周辺地域に栄えた青銅器文明。文明の先進地であるオリエントと海上交通で結ばれていたために,ヨーロッパ文明への橋渡し的存在となった。その存在が知られるようになったのは,シュリーマンによるトロイやミュケナイの発掘,エヴァンズによるクレタ島クノッソスの発掘などが始められた19世紀末以降のことである。
 初期にはクレタ島などで,タコなどの海の生物,植物,動物,人間を自由に描いた美術が生まれた。前1400年頃のミュケナイ人によるクレタ島征服を機に,ギリシャ半島南部のミュケナイに文明の中心地が移ると,建築はより堅牢になり,自然をモチーフとしたものが消えて,幾何学文様が主流を占めるようになった。