美術史ワード

エジプト文明

 ナイル川流域で,約3000年間隆盛を誇った文明。ナイル川流域は農産物を育てるのに適した地であり,鉱物資源にも恵まれていたため都市が発展した。エジプトの富を狙う征服者は絶えなかったが,それゆえにさまざまな地域の文化を取り入れることができた。エジプトで誕生した色とりどりで壮大な美術は,ピラミッドやミイラ,ヒエログリフなど,そのほとんどが神の崇拝や来世への強い信仰によって生まれたものであった。また,エジプト美術の特徴としては, 個人の表現を追究するようなものではなく,極めて形式的で装飾性が高いことも挙げられる。
 新しい王朝が生まれ,首都がテル・エル・アマルナに置かれてからは,写実的で洗練されたアマルナ美術が栄えた。ベルリン美術館所蔵の「ネフェルティティの胸像」は,後期アマルナ美術を代表する例である。