美術史ワード
ギリシャ文明
前2000年頃に始まるクレタ文明から,古代ローマ支配下以前のギリシャを一般に古代ギリシャとよぶが,ギリシャ美術は,様式の違いから通常四つの時代に分類される。
紀元前11世紀末~紀元前8世紀末を幾何学様式期といい,いまだエーゲ海美術とのつながりが見いだせる。
続く紀元前8世紀末から,ペルシャがアテネを攻略した紀元前480年までをアルカイック期といい,オリエントからもたらされた工芸品によって植物や動物文様などのモチーフが増大するとともに,エジプト彫刻の影響を受けて大彫刻の制作が始まった。巨大な石造神殿の建築様式が定まり,建築を飾る浮き彫り彫刻も発達した。
前5世紀にはアテナイ,スパルタなどのポリス(都市国家)が同盟してペルシャ戦争に勝利し,アテナイを中心に古代ギリシャの黄金時代が築かれたが,この頃から前323年までをクラシック期という。市民の台頭により先進的な民主政治が誕生し,神話,哲学,演劇,彫刻などの美術工芸,オリンピックの起源となったオリンピアの祭典など,文化は隆盛を極めた。パルテノン神殿が造営され,彫刻の傑作が多く生み出された。それまでの彫刻が直立不動の姿勢なのに対し,バランスや動静が追究されていく。
前323年から前27年頃までをヘレニズム期といい,アレクサンドロス大王の東方遠征によってギリシャとオリエントの文化が融合した。前2世紀中頃の古代ローマ支配後も,ギリシャ文化は継承された。