バロック
16世紀末から18世紀前半のヨーロッパに広がった美術様式。だまし絵の天井画に代表されるような、壮麗かつ複雑な空間や過度の装飾、光と影の効果の追求などが特徴。「バロック」は、ポルトガル語の「歪んだ真珠」を表す言葉に由来するともいわれる。この時代にみられる誇張された劇的な表現から、もともとは規則から外れた美術に対する否定的な意味で名づけられた。
光と影を効果的に用いて迫真的な画面を描いたミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョや、高い描写力で宮廷画家として活躍したディエゴ・ベラスケスらが代表的な作家。彫刻の分野では、建築家でもあるジャン・ロレンツォ・ベルニーニが劇的かつ一瞬の動きを捉えたような表現によって、演劇的な効果のある作品をつくり上げた。
またこの時代には、宗教画や神話を題材にしたものだけでなく、風俗画、風景画、静物画など、現実に基づいた題材の絵画も盛んに描かれた。