ロマン主義
18世紀末から19世紀前半にかけて、ヨーロッパを中心に美術や文学、思想の分野で展開した芸術運動。美術においては、普遍的な理性を尊重し、古代ギリシャ・ローマを理想とする新古典主義に反発する形で、個人の感性に重きを置き、より自由な表現を求めた画家たちが活躍した。彼らは表現を多様化させ、自然の神秘的な光景や空想の物語、中近東の情景など、それまで題材とされてこなかった主題を描いた。また様式においても、色彩や動きを重視し、荒いタッチで描くことで、個人的な感性を表現しようとした。
ドラマチックな構図と強烈な色彩で「民衆を導く自由の女神」を描いたフランスのウジェーヌ・ドラクロワや、広大で神聖な風景に孤独な人間を描きこむことで宗教的な象徴性を与えたドイツのカスパー・ダーヴィト・フリードリヒらが代表的な作家。