共に生きるために大切なこととは?

「子どもの権利条約」を読んでみよう

「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」は、世界中全ての子どもたちがもつ権利を定めた条約です。1989年11月20日、第44回国連総会において採択さいたくされました。

「子どもの権利条約」は、子ども(18さい未満の人)が権利をもつ主体であることを明確に示しています。子どもが大人と同じように、一人の人間としてもつさまざまな権利を認めるとともに、成長の過程にあって保護や配慮はいりょが必要な、子どもならではの権利も定めています。

子どもの権利条約

第1条 子どもの定義

18さいになっていない人を子どもとします。

第2条 差別の禁止

すべての子どもは、みんな平等にこの条約にある権利をもっています。子どもは、国のちがいや、性のちがい、どのようなことばを使うか、どんな宗教を信じているか、どんな意見をもっているか、心やからだに障がいがあるかないか、お金持ちであるかないか、親がどういう人であるか、などによって差別されません。

第3条 子どもにもっともよいことを

子どもに関係のあることが決められ、行われるときには、子どもにもっともよいことは何かを第一に考えなければなりません。

第4条 国の義務

国は、この条約に書かれた権利を守るために、必要な法律を作ったり政策を実行したりしなければなりません。

第5条 親の指導を尊重

親(保護者)は、子どもの発達に応じて、適切な指導をします。国は、親の指導を尊重します。

第6条 生きる権利・育つ権利

すべての子どもは、生きる権利・育つ権利をもっています。

第7条 名前・国籍こくせきをもつ権利

子どもは、生まれたらすぐに登録(出生とどけなど)されなければなりません。 子どもは、名前や国籍こくせきをもち、できるかぎり親を知り、親に育ててもらう権利をもっています。

第8条 名前・国籍こくせき・家族関係が守られる権利

国は、子どもが、名前や国籍こくせき、家族の関係など、自分が自分であることを示すものをむやみにうばわれることのないように守らなくてはなりません。

第9条 親と引きはなされない権利

子どもには、親と引きはなされない権利があります。子どもにもっともよいという理由から引きはなされることも認められますが、その場合は、親と会ったり連絡れんらくしたりすることができます。

第10条 別々の国にいる親と会える権利

国は、別々の国にいる親と子どもが会ったり、一緒いっしょにくらしたりするために、国を出入りできるよう配慮はいりょします。親がちがう国に住んでいても、子どもは親と連絡れんらくをとることができます。

第11条 よその国に連れさられない権利

国は、子どもが国の外へ連れさられたり、自分の国にもどれなくなったりしないようにします。

第12条 意見を表す権利

子どもは、自分に関係のあることについて自由に自分の意見を表す権利をもっています。その意見は、子どもの発達に応じて、じゅうぶん考慮こうりょされなければなりません。

第13条 表現の自由

子どもは、自由な方法でいろいろな情報や考えを伝える権利、知る権利をもっています。

第14条 思想・良心・宗教の自由

子どもは、思想・良心・宗教の自由についての権利をもっています。

第15条 結社・集会の自由

子どもは、ほかの人びとと一緒いっしょに団体をつくったり、集会を行ったりする権利をもっています。

第16条 プライバシー・めいの保護

子どもは、自分や家族、住んでいるところ、電話やメールなどのプライバシーが守られます。また、他人からほこりを傷つけられない権利をもっています。

第17条 適切な情報の入手

子どもは、自分の成長に役立つ多くの情報を手に入れる権利をもっています。国は、本、新聞、テレビ、インターネットなどで、子どものためになる情報が多く提供されるようにすすめ、子どもによくない情報から子どもを守らなければなりません。

第18条 子どもの養育はまず親に責任

子どもを育てる責任は、まずその両親(保護者)にあります。国はその手助けをします。

第19条 あらゆる暴力からの保護

どんなかたちであれ、子どもが暴力をふるわれたり、不当なあつかいなどを受けたりすることがないように、国は子どもを守らなければなりません。

第20条 家庭をうばわれた子どもの保護

家庭をうばわれた子どもや、その家庭かんきょうにとどまることが子どもにとってよくないと判断され、家庭にいることができなくなった子どもは、かわりの保護者や家庭を用意してもらうなど、国から守ってもらうことができます。

第21条 養子縁組えんぐみ

子どもを養子にする場合には、その子どもにとって、もっともよいことを考え、その子どもや新しい親(保護者)のことなどをしっかり調べたうえで、国やおおやけの機関だけが養子縁組えんぐみを認めることができます。

第22条 難民の子ども

自分の国の政府からのはく害をのがれ、難民となった子どもは、のがれた先の国で守られ、援助えんじょを受けることができます。

第23条 障がいのある子ども

心やからだに障がいがある子どもは、尊厳が守られ、自立し、社会に参加しながら生活できるよう、教育や訓練、保健サービスなどを受ける権利をもっています。

第24条 健康・りょうへの権利

子どもは、健康でいられ、必要なりょうや保健サービスを受ける権利をもっています。

第25条 せつに入っている子ども

せつに入っている子どもは、そのあつかいがその子どもにとってよいものであるかどうかを定期的に調べてもらう権利をもっています。

第26条 社会保障を受ける権利

子どもは、生活していくのにじゅうぶんなお金がないときには、国からお金の支給などを受ける権利をもっています。

第27条 生活水準の確保

子どもは、心やからだがすこやかに成長できるような生活を送る権利をもっています。親(保護者)はそのための第一の責任者ですが、必要なときは、食べるものや着るもの、住むところなどについて、国が手助けします。

第28条 教育を受ける権利

子どもは教育を受ける権利をもっています。国は、すべての子どもが小学校に行けるようにしなければなりません。さらに上の学校に進みたいときには、みんなにそのチャンスがあたえられなければなりません。学校のきまりは、子どもの尊厳が守られるという考え方からはずれるものであってはなりません。

第29条 教育の目的

教育は、子どもが自分のもっている能力を最大限のばし、人権や平和、かんきょうを守ることなどを学ぶためのものです。

第30条 少数民族・先住民の子ども

少数民族の子どもや、もとからその土地に住んでいる人びとの子どもは、その民族の文化や宗教、ことばをもつ権利をもっています。

第31条 休み、遊ぶ権利

子どもは、休んだり、遊んだり、文化芸術活動に参加したりする権利をもっています。

第32条 経済的搾取さくしゅ・有害な労働からの保護

子どもは、むりやり働かされたり、そのために教育を受けられなくなったり、心やからだによくない仕事をさせられたりしないように守られる権利をもっています。

第33条 やく・覚せいざいなどからの保護

国は、子どもがやくや覚せいざいなどを売ったり買ったり、使ったりすることにまきこまれないように守らなければなりません。

第34条 性的搾取さくしゅからの保護

国は、子どもが児童ポルノや児童買春などに利用されたり、性的なぎゃくたいを受けたりすることのないように守らなければなりません。

第35条 誘拐ゆうかい・売買からの保護

国は、子どもが誘拐ゆうかいされたり、売り買いされたりすることのないように守らなければなりません。

第36条 あらゆる搾取さくしゅからの保護

国は、どんなかたちでも、子どもの幸せをうばって利益を得るようなことから子どもを守らなければなりません。

第37条  拷問ごうもんけいの禁止

どんな子どもに対しても、拷問ごうもんや人間的でないなどのあつかいをしてはなりません。また、子どもをけいにしたり、死ぬまでけい所に入れたりすることは許されません。もし、罪をおかしてたいほされても、尊厳が守られ年れいにあったあつかいを受ける権利をもっています。

第38条 戦争からの保護

国は、15さいにならない子どもを軍隊に参加させないようにします。また、戦争にまきこまれた子どもを守るために、できることはすべてしなければなりません。

第39条 がいにあった子どもの回復と社会復帰

ぎゃくたい、人間的でないあつかい、戦争などのがいにあった子どもは、心やからだの傷をなおし、社会にもどれるようにえんを受けることができます。

第40条 子どもに関する司法

罪をおかしたとされた子どもは、ほかの人の人権の大切さを学び、社会にもどったとき自分自身の役割をしっかり果たせるようになることを考えて、あつかわれる権利をもっています。

〈出典:公益財団法人 日本ユニセフ協会/イラスト:いとう瞳〉