美術史ワード
ロココ
18世紀中頃,フランスを中心として流行した芸術様式。ロココは,17世紀のルイ14世治世下における儀式的で壮大なバロック美術に対する反動として誕生したもので,軽やかで親しみやすくこぢんまりとした性格をもつ。絵画だけではなく,建築や工芸などの分野で,装飾芸術としても影響を与えた。建築には,渦巻き細工のような曲線的なデザインや,貝殻,小さな天使プットーなどのモチーフを取り入れた装飾が多く見られる。また,快適な室内をしつらえるため工芸が発達し,家具や服飾,セーヴルやマイセンといったヨーロッパを代表する陶器も進歩を遂げている。
フランドル地方の画家ヴァトーは,田園での男女の恋の戯れ,音楽,ダンスを絵画の主題として描き,人気を博した。軽妙な筆さばきで貴族の肖像画などを手がけたフラゴナールや,中流階級の家庭生活や静物画に独自の主題を見いだしたシャルダンらもこの時期を代表する画家である。アカデミーやサロン(官展)などの制度が根づき,美術批評や画商が活発な活動を始めたことも重要である。
【関連する主な作家】
アントワーヌ・ヴァトー(フランス)
ジャン・シメオン・シャルダン(フランス)
ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ(イタリア)
ジャン・オノレ・フラゴナール(フランス)
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