美術史年表

美術史用語

ゴシック

12世紀、ロマネスクに次いでフランスで現れ、主に13〜14世紀にヨーロッパに広がった美術様式。北ヨーロッパでは16世紀初頭まで見られる。特に聖堂建築に代表される。人々を広く信仰に導くために、聖堂は神に近づくようにより高く、その栄光を称える光を取り込み、明るく豪華に装飾することが求められた。そのような背景から、ゴシックの聖堂は、建築全体の垂直性やそれを可能にする構造的な工夫の数々、光を取り込む大きな窓と、そこにはめ込まれたステンドグラスを特徴としている。

また、建築内外の壁面や扉口などを飾るため、石を素材とする彫刻も数多くつくられた。ゴシックの聖堂を飾る彫像は民衆にキリスト教の教義を説くためにつくられており、「石の聖書」ともよばれている。代表的なゴシック建築としては、フランスのシャルトル大聖堂やパリ大聖堂などがある。

都市が発達したこの時代、聖職者だけでなく、宮廷や裕福な市民が新たな文化の担い手として登場した。それに応じてゴシックの表現は写実の度を強め、また宮廷や都市市民のための絵画や工芸品、写本挿絵も数多くつくられた。

【関連する美術史用語】
ロマネスク