レアリスム
「写実主義」という意味で、美術史においては、19世紀中頃からフランスを中心に始まった美術運動のことを指す。古代ギリシャ・ローマやルネサンスの美術を手本とする新古典主義、想像力を膨らませて人間や自然の非日常的なドラマを描くロマン主義に対して、労働者や農民の生活、身近な自然のありのままの姿を作品に表そうとしたことが特徴。
過去の美術や想像の世界にとらわれず、労働者や貧しい人々など、身の回りの現実世界をあえて大画面に忠実に描き出し、伝統的な形式にのっとった美術に挑戦したギュスターヴ・クールベや、農村の人々や風景を見つめ「種をまく人」「晩鐘」などを描いたジャン・フランソワ・ミレーらが代表的な作家。目の前の世界の美や真実を描こうとするレアリスムの考え方は、後の印象派(印象主義)に影響を与えていく。